あの日、たくさんの命が大津波に飲み込まれた。
命が一つ消えてしまうだけでも悲しいのに、たくさんの命が一瞬で、しかも、同時に消えてしまう「悲しみの相乗効果」はとてつもなく大きい。あれから早くも一年がたった。あの悲しみは少しでも中和されただろうか・・・・。
私は生まれてから大学を卒業するまで、ほとんど岩手県盛岡市で過ごした。津波の被害を受けた沿岸地域には、家族や友人とドライブに行く事が多かった。大きな堤防のそばを、車で走った事もよく覚えている。堤防が大きすぎて車から景色が見えなくて、「堤防邪魔だよ・・・」と思った事もあった。
あの日、私はバンコクにいた。
信じられなかった。あの大きな堤防を乗り越えるくらい大きな津波がくるなんて・・・・・街が海に飲み込まれるなんて・・・・。
この一年、何度となく震災の事を思い出した。
震災のみならず、自然災害は地球上どこにでも起こり得る。ここ、タイでさえ・・・。事実、タイは去年、大きな洪水被害にあった。ここでも、多くの人の命が消えてしまった。
突然の自然災害・・・・自然の脅威には、科学技術を発達させた人間でさえ太刀打ちできないこともある。私は、これらの災害で目にした多くの悲しみから、自分が本当にしなければならない事に気づいた。
それは、かけがえのない人達をいつも大切に想い、大切に接する事。
自然災害だけではなく、人は事故・病気などで、いつこの世から消えてしまうかわからない。今日もしくは数時間後、もしくは今すぐ、私自身、両親、兄弟、旦那、友人など、かけがえのない人達の命が消えてしまう可能性は「0」じゃない。
かけがえのない人達と一緒にいれる時間、話せる時間、自分自身と向き合う時間は本当に、天から授かった貴重な時間だと思う。今を大切にしなければ意味がない。それは、人間のもって生まれた使命かもしれない。
今日は、各地で震災のチャリティーベントが催されていた。このイベントに参加した人達の中で、100%の自信をもってかけがえのない人達を大切に想い、大切に接する事が出来ている人はどのくらいいるだろうか??被災者を支援するイベントはとても大切だけれど、「イベントに参加できてよかったね」と自己満足で終わっていないだろうか??私も、もしかしたら、いつか突然チャリティーされる側になるかもしれない。
私は震災の後から、いつ大切な人達を失うかわからない恐怖でいっぱいだ。失ってから大切にすればよかったと後悔したくない。たった今、かけがえのない人を大切にすることが私の人生の使命だし、「チャリティー」のスタート地点なんだと思った。